インプラント治療の手法として、「1回法」と「2回法」があるのをご存じでしょうか。両者の違いを一言で説明するなら、「歯茎を切開する外科手術が1回なのか2回なのか」の違いです。
なお、1回法はワンピースタイプのインプラント(インプラントと人工歯の土台部分が一体化したもの)を使う方法で、2回法はツーピースタイプのインプラント(インプラントと人工歯の土台部分が分離したもの)を使用する方法だと認識している方も多くいますが、それは誤り。実は1回法でも、2回法で使われるツーピースタイプのインプラントを使用するケースもあります。
一般的に、ツーピースタイプのインプラントは歯茎の中にしっかりと埋入することができるため、細菌感染などのトラブルのリスクがより少ないとされています。今回は、インプラント治療の1回法と2回法、それぞれの特徴を中心に解説していくことにしましょう。
インプラント治療の「1回法」とは?
上述のとおり、インプラントの外科手術が1回で済むのが1回法です。手術では歯茎を切開してインプラントを埋め込みますが、その際、アバットメント(連結部分)を歯茎から露出させておきます。この状態でインプラントが顎の骨に結合するまで待ち、アバットメントに人工歯を装着します。
なお、上述のとおり、1回法では「ツーピースタイプ」、もしくは「ワンピースタイプ」のインプラントが使用されます。
1回法の特徴
・歯茎を切開する外科手術が1回で済む。
・顎の骨の量が少ない場合は適応できないケースがある。
・造骨法を併用する場合、2回法より細菌感染のリスクが高い。
インプラント治療の「2回法」とは?
文字どおり、2回の外科手術を経てインプラントを装着するのが2回法です。1回目の手術(1次手術)で歯茎を切開してインプラントを埋入しますが、その際にインプラントを顎の骨に完全に埋め込み、その上に歯茎を被せて縫合します。その後、インプラントが顎の骨としっかり結合するまで3~6ヶ月の「治癒期間」を設けます。インプラントが顎の骨と結合したことを確認できたら、2回目の手術(2次手術)です。再び歯茎を切開してインプラントの頭を露出させ、そこにアバットメント(連結部分)を取り付けて、アバットメントに人工歯をセットします。
なお、2回法ではほとんどの場合、ツーピースタイプのインプラントが使用されます。
2回法の特徴
・歯茎を切開する外科手術を2回行う必要がある。
・顎の骨の量がやや少ないケースも含め、ほとんどすべての症例に適用できる。
・いったん歯茎を被せて治癒期間を設けるため、細菌感染のリスクが低く、インプラントと同時に造骨法を行う場合などにも適している。
中野坂上スワン歯科・矯正歯科 院長より
1回法は外科手術が1回で済むのがメリットですが、一般的に、インプラントと顎の骨が結合するまでに細菌感染するリスクは2回法よりも高いと言われており、完全に結合していないうちに力が加わることでインプラントに悪影響を及ぼすリスクもあります。
あくまでも優先されるべきは、患者様の「安心」と「安全」です。1回法と2回法、それぞれの内容をしっかりと理解したうえで、患者様にとって最善の方法を提案してくれる歯科医院を選ぶことが大切ですね。
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次回の歯科コラムは、7月14日(木)の公開を予定しております。ぜひ、お楽しみに。